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萌芽のパンの画像

店舗経営

麦薫る風処 萌芽

経営者・パン職人/羽生 裕二さん

こだわりのパンが並ぶ、人気ベーカリーを経営。

住宅街にある築40年ほどのマンション。その1階部分を隣接するカフェなどと共にリノベーションし、営業しているのがベーカリー「麦薫る風処 萌芽」(ほうが)です。お昼過ぎにお伺いしたところ、パンはすでにほとんど売り切れ。地域の食材などを取り入れたパンは、メディアで取り上げられるなど大人気です。

ベーカリー「麦薫る風処 萌芽」の店舗外観

そのパンを作っているのが、オーナーでパン職人の羽生裕二さん。生まれつき両耳が聞こえない羽生さんは、接客は基本的に従業員の方々に任せているそうで、従業員とやり取りする際には口の動きを読んだり、筆談や手話、スマートフォンのメモ機能などを使っています。今回の取材では筆談で対応していただきました。

ベーカリー「麦薫る風処 萌芽」とオーナーでパン職人の羽生裕二さん

職探しが難航。偶然出会った、パン職人の道へ。

愛媛県出身の羽生さんは、2010年に奥様の実家がある宮城県へ移住。東日本大震災がきっかけでパン職人の道へ進みました。「移住後すぐに被災し、職探しに苦労しました。その中でたまたま見つかったのがパン作りで、この仕事との出会いは偶然でした」と羽生さん。しかし、通常数年かけて習得する技術を羽生さんは入社1年ほどで一通りできるように。ベテランの職人から「パン作りに向いている」と言われたことが自信になったといいます。

その後、羽生さんはさまざまなパン屋で修業を積み、2020年から塩竈市でカフェベーカリーを経営し、2022年12月に現在の店を移転オープンしました。

多様な人材の雇用を目指して。

羽生さんがパン職人としてだけではなく、経営まで行っている理由は雇用創出と自立支援を促すためです。「パン作りにはさまざまな作業があるため、知識や経験が浅い人でも活躍できる工程があります」と羽生さん。店の移転を決めた理由の一つも「収益を高めて、障害者やシングルマザーなど多様な人を雇用するため」と答えてくれました。

パンをオーブンから取り出す羽生裕二さん

また、羽生さんは、自立支援の観点から従業員を雇用する際には「やりたいことがあるか」を確認するそうで、「『萌芽』という店名には『すべての人が輝ける場所にしたい』という思いを込めています」と言うように、従業員が「輝く」ことを第一に考えています。

従業員を複数名雇用するのは羽生さんにとっても初めての挑戦。「経理や労務を整えなければならず、それらの業務をパン作りと並行するのは大変でした」と羽生さん。しかし、現在も労務などの専門分野を除き、ほとんど自らが担当しているそうです。

事務作業をする羽生裕二さん

地域の生産者とコラボした個性的なパンが豊富。

全部で30種類ほどあるという「麦薫る風処 萌芽」のパン。その特徴の一つは、宮城県内の特産品を数多く取り入れていること。メニュー開発は羽生さん自身が行っており、さまざまな縁で繋がった地域の生産者とコラボしています。店のパンを通じて、地域活性化や地産地消なども目指しているそうです。

パンをプレートに乗せる羽生裕二さん

「例えば『ほやポテト』は塩竈で店を構えていたときに、よく通っていたほやの専門店の方と知り合って作りました。ほやは韓国への輸出がストップして廃棄されるものが多くて、それを減らしたいという生産者に協力したいと思いました」。また、こういった惣菜パンだけではなく、甘い菓子パンやシンプルな食パンなども人気です。

障害のある人が活躍するために、「まずは、やってみる」。

羽生さんが“パン職人”という仕事を見つけられたように、障害のある人が自分にあった仕事を見つけて活躍するために大切なことを伺うと「自分で可能性を決めつけず、まずはやってみること」と回答しました。「例えば耳が聞こえない人は接客できないと思われがちですが、その障害を持ってここで働いている従業員は『工夫次第で自分でもできるんだ』と知って、一層やれることを増やしています」。

パンを販売する羽生裕二さんとお客様

2023年10月から、国分町のバーを日中に間借りして喫茶店を週2回営業中。いずれは店舗を持つことが目標だと教えてくれました。「カウンターでコーヒーを淹れて、お客様とゆっくり話をしたいですし、さらに新しい雇用や仕事も生み出したいと思っています」と羽生さん。「パン職人としても経営者としても、これからも奔走していきます」と力強く宣言してくれました。

ベーカリー「麦薫る風処 萌芽」の看板

イメージ・ムービーを制作した学生より一言
東北学院大学3年/佐藤 拓さん

佐藤拓さん

中学生の時に聴覚に障害のある人の支援イベントに参加し、手話などを教えてもらったことがありました。ただ、そういった人が店を経営するということはイメージになく、しかもたくさんのメディアに取り上げられるほど人気の店だということに驚きました。今後はもっと多様な人とふれあう機会を増やして、理解を深めていきたいと思いました。

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